言葉から自由になる
大学の授業で具体的に覚えてることは2つしかないのですが、
その1つは英語の授業で教わった「コノテーション」っていう言葉です。
言葉は定義が1つではなくて、ゆるやかに内包する意味がいくつかある。
その潜在的に含む意味をコノテーションって言うんだと、ハタチくらいの時、先生から教えていただきました。
なるほど、確かに言葉には絶対的な1つの解釈だけでなく、柔らかく、さまざまな意味をはらんでいる。
それは同じ言葉を使っている民族であっても、個人や時代やコミュニティによって違ってくるのだろうなぁと思ったのでした。
たとえば、「いただきます」っていう言葉にしても、食べるという行動を促す、単なる号令的な掛け声として発している人もいるだろうし、
「作ってくれてありがとうございます、ありがたくいただきますね」
という意味を込めていう人もいる。
「何考えてるの?」は、相手の気持ちを聞く言葉ですが、母ちゃんが「何考えてるの!」と子どもに言う時は「二度とやんなよ!」ということですし、「何でですか」は理由を聞いていますが、「何でやねん」は理由を聞いてるわけではありません。
・・・みたいな事でしょうか。
さてさて、
なんでこの言葉をふと思い出したかというと、
よく耳にする「言葉をちゃんと使おうよ」的なことに最近また接して、いろんな考え方があっていいのだけど、「私はあんまり細かいこと気にしたくない方だな」って思ったからなのでした。
例えば、言葉をちゃんと使おうよランキング堂々の第一位は、
「感謝の気持ちは“すみません”じゃなくて“ありがとう”って言おうよ」
です。
「何か人にしてあげた時にすみませんって言う人いますよね〜。せっかくしてあげたのに、すみませんって言われると、こっちが謝らせてるみたいな気持ちになるんですよね。ちゃんと感謝の気持ちは“ありがとう”って言うべきだと思うんですよね〜」
いやいや、
しっかり“感謝の気持ち”として言ってるって分かっとるやん!
それなら、すみませんだの、ありがとうだの、そんな記号にこだわって、感謝の気持ちを受け取れなくなってる方が寂しいんじゃ・・・
続きまして、言葉をちゃんと使おうよランキング、ついに殿堂入りを果たしたのは、
「頑張ってる人に頑張ってねって言っちゃダメ」
です。
「私がこんなに頑張ってるって知ってるのに、別れ際に『頑張ってね』だって。これ以上何を頑張れって言うの??」
いやいやいや、
頑張ってるって知ってる友達がそれ以上追い詰めるはずないし!
・・・言葉を文字通りにしか受け取れないのは、相手のせいじゃなく、自分が疲れすぎてるだけかもしれませんね。
相手の方は、頑張ってねって言葉しか出てこなかったかもしれませんが、そこには
「貴方のこと大切に思ってるよ」
っていう愛情が込められてるとしたら??
その真意を受け取れずに相手を悪者にして、自分は被害者みたいになって、もったいないなぁ・・・と思います。
確かに、言葉によっては、どんなコノテーションの幅があるのか分からない場合もありますし、
意味を伝えるために適切なワードを選ぼうっていうのも分からないでもないのです。
でも結局、言葉は気持ちを伝えるための記号。
記号の用法にこだわるよりも、相手が伝えたい気持ちを受け止める自分の感性を優しく整えておく方が大事なんじゃないかなぁ〜と常々思います。
とはいえ、私も人の言ったことを真に受けて、ガーン!と傷つくこともあります(笑)
でも、そういう時は、
「あ〜、自分ってここに地雷があったんだなぁ」とか、
「コンプレックスに思ってたから悪い方に受け止めちゃったのかぁ」とか、
自分に原因があったりもするので、相手の責任と思うのもちょっと違うのかなぁと思ったり。
あまりにもデリカシーの無い人は別ですが!
それにしても、言葉はコミュニケーションのための記号であるのに、同じ記号でも解釈が違ってしまっては、記号の意味をなさないですから、大変ですね。いやはや。
言葉は刃物にもなるくらい取り扱い注意なものですが、
相手が発する言葉の受け止め方からは、もっと自由になってもいいかもね、というお話でした。
おしまい
●オートクチュール・フラワーブランド「装花TOKYO」
「装花TOKYO」は、店舗を持たないアトリエスタイルのオートクチュール・フラワーブランドです。命ある生花のみを使い、特別なシーンのフラワースタイリングをオーダーメイドでご提供しています。
●オーダー内容
商品ディスプレイや撮影用プロップ、プロモーションイベントのフォトブース作りなど、特別なシーンにおいて、草花が持つ命のインパクトと視覚的魅力を活かした空間づくりをサポートしています。
・オーダーメニュー 【定期装花/撮影のフラワースタイリング/イベント装花/お祝い花など】
・作品ギャラリー
・装花TOKYO フラワーデザイナー 杉山香林について
・お問い合わせ・ご相談
■instagram
http://instagram.com/karin_sugiyama
■Facebookページ
http://facebook.com/sokatokyo