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2016-10-15

他人軸ではなく自分軸で

とあるロンドンのお花屋さんで。

「僕たちはクリスマスでも(クリスマスだから?)18時ピッタリに店を閉めるよ。もし5分過ぎで買わせて!とお客さんが来ても断るんだ」

と言っていました。

「僕たちにも人生があるからね。18時過ぎて来た人はお客さんじゃないからね」と。

それでも商売が成り立つのは、やっぱりそのお客さんの方も自分の生活を大切にできてるからじゃないかなと思います。

なぜなら、もしそのお客さんが自分のプライベートや心身の健康より、お客さんや上司との仕事を優先して過ごしてきていたら、

「は?!客が来てるんだからちょっと残業するくらい“当たり前”じゃない?」

「なんだよ!俺なんて毎週徹夜するくらい働くなんて“普通”だったけど?」

といった反感を持つはずだからです。

人は、自分が見たりやってきた事が「当たり前」「普通」「常識」と認識するようにできていますし、自分が苦労してきた事を無駄だと思いたくないためか、その苦労をスルーして幸せになろうとしている人に心がざわつく傾向があります。

残業や過労の問題も、そういう本当は普通であってはいけない「当たり前」の空気が環境や関係者にあり、「帰る、休む、辞める」ということに重苦しい罪悪感を芽生えさせるので、並大抵の精神でなければそこを乗り越えられないですよね。

そうなると、自分を犠牲にして他人軸で生きることになります。

例えば、「徹夜続きで具合が悪い・・・いっそのこと倒れたり入院できれば休めるのに~」と言う人がいました。

それは、具合が悪くても、他人が納得できる理由がないと仕事を休んではいけないと思っている証拠です。

人は心身健康に、自己の尊厳を守って生きる権利があるのだから、当然具合が悪いなら自分でそのレベルを判断して休んでいいのにです。

具合が悪いというのは、身体が発信している「休め、生活を変えろ」というアラート。

なのに、自分の基準ではなく、他人が納得するかが基準になってしまうから、そんなアラートも無視し、さらに身体はこれでも休んでくれないのかともっと具合を悪くしてアラートの音量を上げていきます。

それでも無視すれば、そのアラートは消え、本当に心身が壊れてしまうのです。

そんな構造になっているのだから、いくら会社や組織が残業を減らそう、有休を取れと言ったって、弱い立場の人が改善できるはずがないんです。

なので、一番最初に始めなければいけないのは、「立場の強い人が、立場の弱い人の時間と権利を大切にする」ということだと思います。

クライアントと発注先という関係であれば、例えば、クライアントは発注業者に金曜の夜に頼んで月曜の朝までに仕事を上げてもらうといった無茶振りや、定刻を過ぎて電話するなどを止める。業者の手戻りを無くすためには最初のミーティングで何を確認するべきか?と真剣に考えて周到に準備する。

上司は、例えば、部下に業務範囲を明確にしてあげ、それ以外に抱えている業務の配分を考えてやる。部下よりも先に上司が帰る。時間よりも生産性で部下を評価する。

主婦は、例えば、ファミレスの接客が良くなかったからと言っていちいちクレームしない。スーパーで多少ニンジンが曲がっていたって買う。

こうして、立場の強い側が弱い側の権利や人生そのものを尊重できるようになれば、自分を守ることに罪悪感を感じるから追い込まれても働く・・・といった社会が和らいでいくのではないでしょうか。

そして、何よりも、各自が自分の心身の健康と生活を守ることが、他人にそれを許せることにつながって、世の中に「他人軸でなく自分軸で生きていいのだ」といった空気を作れると思います。

ちなみに、パーリー駅の売店でパンを買おうと思ったら袋がくぱっと空いていたので、

「あ!袋破れてる~」

と言ったら、

「あはは!ビニール袋に入れてあげるから大丈夫だよ♪」

とお兄さんが笑顔でポンっと袋に入れてくれました。

日本だったら、

「す、すいません!すぐにお取り替えします!!」

みたいな対応になりますね。

でも、食べられるし、お兄さんのせいじゃないし、このくらいの緩さがあってもいいな~と思ったのでした♪

おしまい。

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