水着の跡みたいな紅葉
寒さが苦手な私には、外を歩くのがこの上なく過酷に感じられる季節ですが、紅葉の美しさのお陰で何とかメンタルを保っております。
紅葉の美しさの1つにはグラデーションの妙があると思うのですが、それぞれの木同士のグラデーションだけでなく、1つの木の中でもグラデーションがありますよね。
葉を赤くする楓などは、上から&外側から赤くなっていき、葉を黄色くするイチョウなどよりも1つの個体でのグラデーションが顕著です。
葉が赤くなるのは、光合成をすることで葉に溜まった糖(※)が、日光によってタンパク質と化学反応を起こすことで、赤色の成分であるアントシアニンが生成されるためなので、日の当たりやすい木の上部や外側から赤くなっていくんですね〜♪
日光とアントシアニンの関係が分かるのがこの写真です。
近所の道端にあった南天の葉なんですが、重なっていた葉をよけると、葉の影になっていた部分が日焼けした水着跡みたいにクッキリ緑色のままになっていました。
こちらも近所で帰り道にみつけたドウダンツツジですが、重なって日光が当たっていなかった部分はクッキリと紅葉せずに残っているのが分かります。
紅葉するには日光が必要とは分かっていましたが、ここまでハッキリと区切りが付くとは思っていませんでした。
これを見つけたきっかけは、先日市場で仕入れた紅葉の南天にあります。
偶然、重なりあった紅い葉をよけたら、その葉の影がクッキリと緑色になっていたので、
「あれ?これってスプレーで人口的に染めたのか???」
と思ったんです。
普段は人口的に染めた花材は使いません。自然の色が美しいと思うからです。
(例えば、人口的でモードな雰囲気やサイバーな空気感を出すなど、染めモノを使う方が有効な場合は、あえて染めてあるものを使うこともあるでしょうが、自然な雰囲気を人口的に出そうとしている花材は使いません)
なので、間違えて染めてあるものを買ってしまったのかな??と一瞬思ったのですが、
でも、アントシアニンが日光によって生成されるとなると、自然界でもこのくらいハッキリと光の当たる部分、当たらない部分の色味が違うのかもしれない、と仮説を立てたのです。
そこで、紅葉している植物をジロジロと観察していたら、案の定、自然に育ったものでも、これだけ日の当たり具合で紅葉加減が顕著に違うということが分かりました。
なので、先日仕入れた南天は染めモノじゃなくて、天然の色でございました。
スッキリ♡
ちなみに、欅(ケヤキ)並木では、黄色、褐色(茶色)、赤色と、3色のグラデーションが見れることがありますが、
これは日光の当たり具合ではなく、個体によって、遺伝子レベルで初めからどの色に変化するかが決まっているんですってね!
私も遺伝子レベルで色白に生まれたかった〜
ちなみに、盆栽では赤くなるケヤキの方がお高いそうですよ。
それでは、年に一度の紅葉シーズン、あと少し楽しみましょう♪
(※)落葉する木は、気温が下がると、葉の根本にコルク質の「離層」というものを生成して、葉と幹の間の養分の循環を断つのだそうです。そうすると、光合成によって葉にできた糖が、枝の方に行かずにドンドン葉に溜まっていくのだそうです。それが紅葉の色をつくる原料になるのですね。
ちなみに、落葉するのは、葉での光合成による実入りと維持するエネルギーを差し引きして、葉が無い方が特だからです。日光が少ない冬は光合成もあまりできないから実入りも少ないし、葉があると水分蒸発しちゃうし、それなら葉を維持するエネルギーの方が大変ってことでしょう。
車の利便性と楽しさより、維持費の方が痛いから、売ってしまうのと同じですね。